| 地質汚染とは |
地質とは、地層(土壌など)、地下水、地下空気の総称です。
地質汚染とは、地下に浸透した有害物質が地質を汚染することです。
地下の環境は、大気や表流水の環境と異なり汚染物質が蓄積し易く、数十年も前の行為によって汚染されたままになっていることもめずらしくありません。また目に見えない所で汚染物質が蓄積・拡散するため、汚染の発見は大気汚染や水質汚染と比較して困難です。
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| 深刻化する地質汚染 |
採鉱にともなう重金属による地質汚染は古くからあり、足尾鉱毒事件はその一例です。
ところが近年、科学技術の急速な発達に伴い、過去には存在しなかった汚染物質が出現してきました。揮発性有機化合物、農薬、PCB、放射性物質などです。なかでも特に問題になっているのは、トリクロロエチレンなどの揮発性有機塩素化合物です。それ等は次の特徴を持つからです。
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火災・爆発の危険性が小さい高性能の溶剤として、全国的に多くの分野で、しかも大量に利用されてきた。
使用例:機械部品や半導体の洗浄、ドライクリーニング |
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永らく安全な物質と考えられていたので、使用法、使用後の処理法などに関する総合的管理が行われていなかった。 |
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比重が水より大きく粘性が低いという溶剤として優れた性質をもつ(コンクリートも透過する)が故に、地下浸透・拡散して大深度かつ広域の地質を汚染する。 |
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人口の密集する市街地を汚染している場合が数多くみられる。 |
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発癌性の可能性が指摘されており、地中で変化してさらに発癌性の高い物質となることがある。 |
参考資料表2.(P.12)は環境省が定めた土壌環境項目とその用途を取りまとめたものです。これらのデータから推定しますと、汚染診断が望まれる個所は全国で約440,000に上ります。
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| 地質汚染のしくみ(揮発性有機化合物の場合) |
| 地層は、れき、砂、シルト、粘土などの地層粒子から成り立ち、これら地層粒子の隙間に地下水と地下空気が存在します。揮発性有機化合物であるトリクロロエチレンなどは、水より重く、粘性が低いので、容易に地下に浸透して地層(地層粒子)、地下水、地下空気を汚染します。
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| 地質汚染のしくみ |

参考:千葉県水質保全研究所地質環境研究室編 「大地のやさしい使い方」 |
| 誰が汚染対策費用を負担するか |
地質汚染とその対策誰が汚染対策費用を負担するか環境汚染問題の解決に必要な費用(汚染防止費用、被害者救済費用、蓄積汚染浄化費用、間接費用)は、「汚染者負担の原則」に基づき賄われることが大前提であり、過去に発生した大気・水質汚染による健康被害等に関しては、この原則が貫かれてきました。この原則は、経済協力開発機構(OECD)が1972年に勧告したもので、英文名は「PolluterPayPrinciple-PPPの原則-」です。この考え方は、社会的にも経済的にも妥当なものとされてきました。
しかし、地質汚染は大気や河川の汚染と異なり蓄積性の汚染であるため、過去の原因(行為)に遡及して費用負担するという問題があり、PPPの原則をあくまで貫くべきなのかあるいは、貫くことができるのかという議論があります。
その理由として、次の点が挙げられます。
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トリクロロエチレンなどの揮発性有機化合物の場合、安全性が高いことなどから、その使用を行政が奨励していたので、汚染者の責任ばかり追及するには無理がある。 |
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地質汚染の浄化費用は、一般に極めて高額である。 |
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染源者が、町工場などの零細企業であることも多く、汚染浄化費用はおろか調査費用の支払い能力すら持たないものが多い。 |
汚染者負担の原則を適用して汚染の調査・浄化を実施している例はありますが、全ての汚染サイトで適用するのは無理があります。汚染の存在が予想される多くの地域では、資金不足のため汚染の概況調査すら実施できないのが現状です。
実行可能な費用負担方法が法的に明示されれば、調査も浄化も進んでいくでしょう。この「誰が汚染対策費用を負担するか?」という問題が未解決であることを、「当面は何の対策も必要ない」と解釈することは、企業のリスク・マネジメントの観点から見ると危険です。なお、汚染対策の主体を土地所有者に求める案が現在検討されています。 |